『クラウド大全 』を読んだ

バズワードの1つでもある「クラウドコンピューティング

具体的に説明しようにも雲のようにぼやっとしている用語ですが、そんなクラウドの世界を、各界で活躍する著名人達が、色んな視点でクラウドコンピューティングについて解説している一冊「クラウド大全」を読みました。


クラウド大全

クラウド大全


この本は、第1部「クラウド入門」 〜 第2部「サービスの詳細」 〜 第3部「クラウドを支える技術」 といった流れになっていますが、全編を通しての繋がりはそれほどなく、どちらかと言えば1章ごとに読みきりの形に近いかなと思います。
そういう意味では、全て読まずとも、目次から興味のある章だけ読むのも良いかもしれません。


ただ、目次を最後に載せておきますが、各章の中身を読むと、概論や各サービス、技術の概観がつかめるようになっていて、この本一冊読めば、現在のクラウドコンピューティングの動向を、概要〜サービスの取り組み〜技術の中身まで、理解できるようになっています。


個人的には、第3部が面白かったです。
何となく理解していたつもりの各レイヤのスケーラビリティにまつわる話とか、クラウドの中身を具体的に解説(技術的に)されていて、より理解が深まりましたし、楽天さんで取り組まれている分散処理技術の話(特に、fairy、ROMAの部分)も興味深かった。
最後のHadoopの章は、今私が一番興味のある部分だったので、これから実践してみようと思います。(というか、この章だけ妙に実践寄りだった気が^^;)


クラウドの動向や、各サービスベンダーの紹介、さらには技術の中身まで、1冊でまとまった書籍は、これまで無かったように思いますので、これからクラウドコンピューティングを触れられる方はもちろん、既に取り組まれている方にもおススメです。


クラウド大全

クラウド大全

目次

===== 第1部 クラウド入門 =====

第1章 今、何が起きているのか
1.1 クラウドは「コンピュータの集中」
1.2 データセンターの規模の経済
1.3 クラウド上のエコシステム
1.4 クラウドで主流に躍り出る分散処理

第2章 クラウド登場の背景と将来展望
2.1 クラウドコンピューティングが生まれた理由
2.2 ベンダーの取り組み
2.3 クラウドコンピューティングの行方

第3章 連携強まるモバイルとクラウド
3.1 クラウド連携に向かうモバイルの大きな動き
3.2 モバイルとクラウドで実現する世界
3.3 モバイルクラウドを手がける各社の戦略
3.4 モバイルクラウドの展望と課題


===== 第2部 サービスの詳細 =====

第4章 Amazon EC2
4.1 ITベンダーとしてのアマゾン
4.2 実録「ITproレコメンド」開発

第5章 Google App Engine
5.1 Google App Engineの特徴と魅力
5.2 GAEで作れるもの
5.3 データストアとDatastore API
5.4 エンタープライズ系アプリケーションとしての可能性
5.5 アプリケーションの紹介
5.6 利用上の課題・不安についての議論

第6章 Force.com
6.1 Force.comとは?
6.2 Force.comの構成要素と開発ツール
6.3 Force.comアプリケーション開発の実践例

第7章 Windows Azure
7.1 マイクロソフトのクラウド戦略「Software + Services」
7.2 Azure Services Platformの概要
7.3 Azure Services Platformのサービス
7.4 Windows Azure


===== 第3部 クラウドを支える技術 =====

第8章 3階層で見るクラウドの分散処理技術
8.1 クラウドの本質はスケーラビリティ
8.2 アプリケーションレイヤのスケーラビリティ
8.3 プラットフォームレイヤのスケーラビリティ
8.4 インフラストラクチャレイヤのスケーラビリティ

第9章 大規模分散処理基盤の開発
9.1 情報爆発――なぜクラウドが生まれているか?
9.2 技術開発競争
9.3 楽天の取り組み
9.4 情報爆発からイノベーションへ

第10章 Hadoopの導入と検証
10.1 Googleの基盤技術
10.2 Hadoopの概要とインストール
10.3 複数台でHadoopを動作させる
10.4 Amazon EC2/S3でHadoopを使う
10.5 大規模データ処理基盤ソフトの動向