昨日エントリ「Amazon EBS の性能ベンチマーク その1 (Standard編)」の続きです。
昨日のエントリで、次はEBSボリュームのサイズを20GBではなく、もっと大きなものにしてみたら、どうなるのだろう?と疑問となった部分があるので、そこのベンチマーク結果となります。
ベンチマークの条件の詳細等は、以下の昨日のエントリからご確認くださいませ。
5. 200GBのEBSボリュームを使ったベンチマーク
おさらい的にベンチマークを取得した環境は以下です。
- 東京リージョン(ap-northeast)で実施。
- c1.xlarge (High-CPU Extra Large Instance) のインスタンスを利用。
- http://aws.amazon.com/jp/ec2/instance-types/ によると「EBS 最適化利用: 1000 Mbps」となっています。
- 200GBのStandard EBSボリュームを1〜16個利用。
- Amazon Linux AMI (2013.3)
- ファイルシステムは"xfs"
- ベンチマークプログラムは"fio"
- 扱うファイルサイズは5GBです。(パラメータ詳細は昨日のエントリをご参照ください。)
さて、それでは、昨日のエントリと同じような感じでベンチマークを行った結果が以下です。まずはIOPS(4k)から。
ebs * 1 | ebs * 2 | ebs * 4 | ebs * 8 | ebs * 16 | |
---|---|---|---|---|---|
sequential read | 14774 | 19310 | 21092 | 25094 | 26320 |
sequential write | 4926 | 5813 | 6887 | 9039 | 13796 |
randam read | 16074 | 22964 | 30321 | 30371 | 30276 |
randam write | 933 | 1106 | 23215 | 23431 | 23582 |
続いて、Bandwidth。単位はMB/sec。
ebs * 1 | ebs * 2 | ebs * 4 | ebs * 8 | ebs * 16 | |
---|---|---|---|---|---|
read | 113.737 | 145.059 | 144.386 | 146.711 | 145.317 |
write | 32.527 | 95.964 | 120.228 | 122.126 | 122.262 |
計測したタイミングでは、EBSボリュームが1本のときと2本のときのランダムライトの落ち込みが大きかったです。昨日のエントリでも、ランダムアクセスが落ちていたケースがあったので、もうちょっと踏み込んで後日追試予定です。
その他については、EBSボリュームが20GBのケースとそれほど差の無い結果となりました(下部にEBSボリューム20GBでの測定結果を掲載)。EBSボリュームの大小に関しては、性能に影響を及ぼさないようです。
6. EBSボリューム200GBで、fioで扱うサイズを50GBに変更
それでは、ベンチマークで扱うファイルサイズを10倍の50GBまで増やしてみます。
EBSボリュームの容量を増やすことで、利用できるキャッシュ(?)の容量との相関を調べてみます。
昨日同様、fioのruntimeオプションを"64"(sec)に変更して実行し、対象となるEBSボリュームの本数は、4, 8, 16本(いずれもRAID0)としました。
その結果が以下です。IOPS(4k)。
ebs * 4 | ebs * 8 | ebs * 16 | |
---|---|---|---|
randam read | 1344 | 3322 | 10493 |
randam write | 577 | 1829 | 4357 |
これだけでは、比較結果わかりづらいと思いますので、昨日のエントリの4.のベンチマーク結果(同一条件でEBSボリューム20GBのもの)とあわせて表とグラフにしてみます。
ebs * 4 | ebs * 8 | ebs * 16 | |
---|---|---|---|
ebs-20GB, randam read | 1620 | 3774 | 6443 |
ebs-20GB, randam write | 513 | 736 | 2367 |
ebs-200GB, randam read | 1344 | 3322 | 10493 |
ebs-200GB, randam write | 577 | 1829 | 4357 |
ここからは、EBSボリュームの容量が大きい方(特に16本でRAID0を組んだケース)が優れた性能が出ているため、やはり扱うファイルサイズが大きい場合は、EBSボリュームの容量および束ねる本数を多くするほうが、より高いランダムアクセス性能を引き出せそうです。
まとめ
- スタンダードタイプのEBSボリュームは、ランダムアクセス(特に書き込み)については、たまに(相性なのかタイミングなのかは不明。後日追試予定。)性能が落ちて不安定なケースがある。
- EBSボリュームは、キャッシュ機構っぽい仕組みがあり、ランダムアクセスについては、そのキャッシュをできるだけ利用したほうが高性能となるっぽい。
- キャッシュっぽいところに乗ってしまうと、ランダムアクセス(4k)は、「Read: 約30000, Write: 約23000」あたりまで性能が出る。
- スループットのMAX値は、「Read: 145MB/sec, Write: 120MB/sec」。
- 利用できるキャッシュの容量は限られていて、一度に扱うファイルサイズに影響している。
- EBSボリューム自体の容量と、束ねる本数を増やしていくことで、ある程度までのランダムアクセス性能の低下を防ぐことができそう。
次回予告
- EBSのProvisioned IOPS(プロビジョンドIOPS)だと、どのような結果になるか確認する。
- ランダムアクセスで性能が落ち込むケースにおいての詳細調査。
それでは次回もお楽しみに! =͟͟͞͞(๑•̀=͟͟͞͞(๑•̀д•́=͟͟͞͞(๑•̀д•́๑)=͟͟͞͞(๑•̀д•́
追記
続編を書きました。
あわせて読みたい
- Amazon EBS の性能ベンチマーク その1 (Standard編) - 元RX-7乗りの適当な日々
- 噂の高速SSDを積んだAmazon EC2インスタンスのI/Oベンチマークをとってみた - 元RX-7乗りの適当な日々
まとめ

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