約20年ぶりに東京ラブストーリーを観た感想

(一応、最初にネタバレを含みそうなエントリーであることを言及しておく。)

1.

最初に、このドラマを観るのは私の人生でおそらく3度目である。

最近何かの弾みで、令和版の東京ラブストーリーの予告編を目にした時に、ドラマのテイスト、登場人物、音楽の雰囲気全てに違和感を覚えた。
あれ?91年公開の昔のやつは、こんな雰囲気じゃなくて全体的に切なくキュッとなる感じを全面に押し出した雰囲気のドラマだったよなぁと思い出し、昔のやつをちょっと観てみようか、って軽い気持ちで観始めたら止まらなくなったというオチである。
(91年版は、Amazon Prime Video や FOD で観ることができます。)

2.

1回目に観たのは、私がおそらく中学生になったくらいの頃、リアルタイムではなく、地方で初めてか2回目の再放送、くらいのタイミングじゃなかっただろうか。(わからんけど)

このドラマを観て、この時に抱いた感想は全く覚えていないけど、今でも好きな恋愛ドラマの1つという強い印象が残っているし、小田和正さんのCDも買ったし、何よりこのドラマの音楽を担当されていた日向敏文さんのファンになって、日向敏文さんの音楽はよく聴くようになった。

2回目に観たのは大学生くらいの頃だったと思う。今から20年くらい前。やきもきする展開ではあるのだが、とにかく切なくなってしまうストーリーでハッピーエンドでは終わらない。

この時の記憶によると、私の中で赤名リカは、良くも悪くも天真爛漫でまわりを振り回す女子、ちょっと困ったちゃん、というか。永尾完治は、ちょっと優柔不断だけど超優しい男。20年前の感想なんてそんなにはっきりとは覚えていないので、ざっくり書くとそんなイメージだった。

3.

で、改めて、それから20年経って、40も過ぎたおっさんになってしまったわけだけど、懐かしさ半分でみると、昔とは随分違う見え方・感じ方をしていることに気付く。

まず、赤名リカに対してとにかく感情移入してしまう。彼女の気持ちがすごく伝わってくる。天真爛漫な印象はさほど変わらないが、昔ほどというか、そこまで受け入れ難い印象は抱かなかった。

あと、ポジティブという文脈で、節々で良いことを言っていて、第1話の冒頭で、初めての東京で不安がる永尾完治に対して、「何があるかわからないから元気出るんじゃない」みたいなことを言っていて、まさに人が楽しく生きていく上で大事なこと言ってるな、と共感できることがあったというのもある。(歳を重ねて気付くこと)

見え方が変わったのは永尾完治。何を今更、と言われると思うが、優柔不断どころではなくて、決められない・はっきりしない・相手のことを思う気持ちはあるものの、それは本質的な優しさではなく、相手を傷つける優しさで、優しさを勘違いしている。鈍感力が高いのか、気づいているのかもしれないが、それをはっきり伝えない、申し訳ないが平たくいうと最低の男である。

そして、彼はリカに振り回されているように見えて、その背後にある本質的な背景は、(完治の幼馴染の) さとみの気持ちがはっきりしないが故にさとみが完治を振り回し、彼も見事に振り回されているように見えるところである。そして、そんなさとみは、(完治とさとみの幼馴染の) 三上に振り回されているという構図になっていて、この幼馴染3人衆の "とばっちり" が、三上→さとみ→完治→リカという流れで遷移してきて、最終的にリカが傷ついてしまうというように見えている。

リカはそこそこひどいことをされていることもあり、とにかくリカに情が移ってしまい、視聴者の切なさを情調している感がある。

4.

リカからカンチに出ている気持ちやリクエストは、遠回しではあるが明確である。それは最後まで、3年後に会うシーンまで変わらない。

特に最終回、リカとカンチの会話がずっと噛み合っていないことが象徴的である。見ている側はもどかしさと切なさしかない。カンチ、なんで他人がではなく自分がどう思っているかで言葉に出さないのだ、と。
その気持ちを汲みとれず、ちょっとズレた発言や行動になり、スレ違いが起こる連続で切なさ全開というストーリーの組み立てになっていた。

最後はハッピーエンドではなく、稚拙な表現で申し訳ないが、今見ると登場人物の中で、最低の男と最低の女が最後にくっつくという展開が、最後の切なさを醸し出している。

改めてこのドラマの魅力はこういう切なさという感情をとにかく積み重ねる演出をするところにあるのだろうな、と感じた。
というか、こんなことを書いている時点で、このドラマのプロデューサーの掌の上で見事に転がされている、という気分になる。

5.

さて、今、見返しても、めちゃんこ面白いドラマだったなぁと感じたし、改めてまた観たいなと思った。すごく重たく切ない気分にさせてくれる。優しさの正しいベクトルを理解させてくれる。

このドラマの登場人物たちの行動には全く理解できないし共感もできないと今回は思ったけどw (そして変わらず日向敏文さんのメロディーは沁みる... ドラマに合わせたメロディーが秀逸すぎる。)

このように、20年経って見え方が変わったこともあるので、最初の話に戻るが、違和感を感じたファーストインプレッションの令和版の東京ラブストーリーをちゃんと観てみるのも面白そうだなぁ。案外、この違和感を覆してくれるのかもしれないし。

と、そんな感じで特段オチはないのだが、ドラマを観終わって、衝撃的に殴り書きをしたくなったので、このエントリーを書いた。それだけ。

それでは!=͟͟͞͞(๑•̀=͟͟͞͞(๑•̀д•́=͟͟͞͞(๑•̀д•́๑)=͟͟͞͞(๑•̀д•́


東京ラブ・ストーリー

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