先日「Amazon RDS」に他ロケーション(Zone)で自動フェイルオーバーできるオプションが追加され、より実用性が高くなりました。また、"AWS Management Console"からの、Amazon RDSの利用がサポートされたことにより、利用の敷居もグッと下がりましたよね。
- Amazon RDS – Multi-AZ Deployments For Enhanced Availability & Reliability | AWS News Blog
- MySQLに自動フェイルオーバー機能を追加したAmazonクラウド。オンラインのままパッチ当てやバックアップも - Publickey
- AWS Management Console Now Supports the Relational Database Service | AWS News Blog
それに伴って、以前私が"@IT"に寄稿させていただいた記事「すぐに使える、手軽に使えるクラウド上のMySQL「Amazon RDSの使い方」」の提出前の元記事(著作権が私にあるもの)に補足+追記(自動フェイルオーバーのオプションや、AWS Management Consoleからの利用についても紹介)したものを、このブログで公開します。
(つまり、@ITの方の編集が入る前の原稿+補足追記ですね。読み比べるのも面白いかもしれませんw)
はじめに
大手パブリッククラウドサービスの1つであるAmazon Web Services。2009年も続々と新しいサービスや機能を発表し、日本でも益々注目を集める存在となっています。
Amazon Web Servicesは、仮想サーバを1時間単位の従量制で利用できるAmazon EC2や、1GB単位からの従量制ながら、高信頼性のオンラインストレージが利用できるAmazon S3などを中心とした、IaaS(Infrastructure as a Service)の代表格です。
そのAmazon Web Servicesが、2009年10月に、クラウド上でRDBが利用できるサービス「Amazon RDS」(Amazon Relational Database Service)を発表しました。
Amazon RDSの特徴
Amazon RDSでは、オープンソースソフトウェアのRDBであるMySQLをクラウド上で利用することができます。このサービスを利用することで、ユーザは以下のことを意識せずに、MySQLの運用が可能となります。
- MySQLのセキュリティパッチの自動適用
- バックアップの自動実行
また、通常であれば別途仕組みが必要となる以下のような機能についても、Amazon RDS側に準備されているAPI経由での容易な即時利用が可能です。
- 別拠点での自動フェイルオーバー(ディザスタリカバリー)
- DBサーバのスケールアップ/ダウン(CPU、メモリなどのリソース増減)
- 任意のタイミングでのバックアップ(スナップショットの取得)
- DBの基本的な設定(サーバリソースにあわせ最適化されている)
- セキュリティ機能(AWSのSecurity Groupsが利用できる)
上記は、どれもDBを持つWebサービスの運用にかかせない機能であり、運用上の面倒事をAmazon RDSサイドにアウトソースすることで運用コストを下げ、開発者はそれらの浮いたコストをサービスの開発・運営やビジネスへの取り組みにあてることが可能となります。
中でも特に、「Multi-AZ Deployments」オプションでは、プライマリで利用しているMySQLサーバとは別のAvailability Zone(別のロケーション・データセンター)にセカンダリのMySQLサーバを自動的に立ち上げ、リアルタイムでデータ同期(DBレプリケーション)を行い、プライマリに障害があった場合は、自動的にセカンダリへとフェイルオーバーさせることで高可用性を実現しています。
また、他のAmazon Web Servicesのサービス同様、利用においては、初期費用不要で、完全従量制の課金体系であり、必要になった時に数分でデータベースが準備できるといった迅速性も兼ね備えています。
Amazon RDSを利用する上での注意点
Amazon RDSは現時点でベータ版のサービスです。
将来的に改善される可能性もあります(最新情報等は公式サイトでご確認ください!)が、現時点では利用する上で以下のような注意点があります。
DBレプリケーション機能(負荷分散用途)が利用できない- (2010/10追記) RDSにリードレプリカ機能が実装されました!(参考)
- OSやDBのエラーログが見れない
- DBの設定変更時には、サーバリブートが必要(設定変更には停止を伴う)
- 週一回のAmazonによるメンテナンス時間がある(オプション利用しないと、無停止にできない)
- ただし毎週実施されるわけではなく、実施の際は事前報知有り
- Multi-AZ Deployments(自動フェイルオーバー)オプションを利用することで無停止運用が可能
このように、Amazon RDSでは、自分でMySQLの環境を構築する従来の手法と比較し、多数のメリットが存在しますが、上記のようなサービス仕様上の注意点も存在します。
レプリケーション機能を利用したDB負荷分散を実現したい場合、Amazon RDSの利用は現状では難しいと言えます。
しかし、上記のような注意点が許容できる場合は、手軽な料金(後述)から使い始めることができますので、是非試してみてください。
特に、Multi-AZ Deploymentsオプションを利用することで、別拠点でのホットスタンバイとなるセカンダリサーバを容易に作れますので、ディザスタリカバリに対応したデータベースシステムを容易かつ安価に作り上げることが出来ます。
サーバスペックと料金体系
Amazon RDSの利用料金は、初期費用が無料で、以下の項目による従量課金制となっています。
- 起動するサーバの種類および起動時間
- DBで利用するストレージの容量およびI/Oリクエスト数
- バックアップデータの利用容量
- データ転送量
1つ目の起動するサーバの種類および起動時間による料金表は以下の通りです。
最もスペックの低い "Small DB Instance" を利用すると、1時間あたり$0.11(十数円程度)から始めることができます。
サーバの種類 | 価格 | メモリ | CPU※ |
---|---|---|---|
Small DB Instance |
$0.11 | 1.7 GB | 1 EC2 Compute Unit (1virtual core with 1 EC2 Compute Unit) |
Large DB Instance |
$0.44 | 7.5 GB | 4 EC2 Compute Units (2 virtual cores with 2 EC2 Compute Units each) |
Extra Large DB Instance |
$0.88 | 15 GB | 8 EC2 Compute Units (4 virtual cores with 2 EC2 Compute Units each) |
Double Extra Large DB Instance |
$1.55 | 34GB | 13 EC2 Compute Units (4 virtual cores with 3.25 EC2 Compute Units each) |
Quadruple Extra Large DB Instance |
$3.10 | 68GB | 26 EC2 Compute Units (8 virtual cores with 3.25 EC2 Compute Units each) |
2つ目のDBで利用するストレージの容量およびI/Oリクエスト数への課金については、ストレージ1GBあたり$0.10/1ヶ月、100万I/Oリクエストあたり$0.10です。
3つ目のバックアップデータの利用容量への課金は、1GBあたり$0.15/1ヶ月です。
4つ目のデータ転送量についての料金表は、以下の通りです。
1ヶ月あたりの転送量 | 1ヶ月あたりの利用価格 |
---|---|
転送量に関わらず全てのインバウンド通信 | $0.10 / 1GB |
最初の10TBまでのアウトバウンド通信 | $0.15 / 1GB |
次の40TBまでのアウトバウンド通信 | $0.11 / 1GB |
次の100TBまでのアウトバウンド通信 | $0.09 / 1GB |
次の150TBまでのアウトバウンド通信 | $0.08 / 1GB |
これら4つの項目の利用料金を合計した料金が、Amazon RDSの利用後に支払う費用となります。
Amazon RDSの利用申請
ここからは、Amazon RDSの使い方について紹介します。
Amazon RDSを使用するためには、まずAmazon Web Servicesのアカウントが必要となります。
まだアカウントを取得されていない方は下記のリンク先を参考にして取得してみましょう。
- Amazon Web Servicesの利用申し込み(アカウント作成)
アカウントの準備ができたら、次にAmazon RDSのページへアクセスしてください。
- Amazon Relational Database Service (Amazon RDS)
次に、画面右部にある "Sign Up For Amazon RDS" のボタンをクリックしてください。
クリック後、まだAmazon Web Servicesにログインしていない、もしくはログイン後に一定時間が経過している場合は、認証が要求されますので、ご自分のアカウントを使ってログインしてください。
次に、Amazon RDSの利用申請を行いましょう。
サインアップ画面では、Amazon RDSの利用料金や、請求情報などが表示されていますので、確認した上で、画面上部の "Complete Sign Up" のボタンをクリックしてください。
その後、"Thank you for signing up for Amazon RDS."と画面に表示され、同様の旨が記載されたメールが、あらかじめ登録したメールアドレス宛に届けば、Amazon RDSの利用申請は完了です。
Amazon RDS Command Line Toolkitのセットアップ
Amazon RDSは、Amazon EC2などのAmazon Web Servicesの他サービス同様、Web経由でAPIを実行することで、Amazon RDSの操作・制御を行うことが可能です。
このAmazon RDSのAPIを実行するためのコマンドラインツールが、Amazonにて公開されていますので、今回はこれを使って、Amazon RDSを利用する方法を紹介します。
(以降、Linux OS上でのコマンドラインツール利用を想定していますが、Windows OSでも利用可能です。Windowsでの利用は、適宜コマンド等を置き換えてお試しください。)
※ 後半で、GUI(AWS Management Console)でのAmazon RDS利用についても紹介しています。
Amazon RDSのコマンドラインツールは、以下のページで公開されています。
- Amazon RDS Command Line Toolkit
ページ内の "Download" ボタンをクリックし、ツールをダウンロードしましょう。
尚、コマンドラインツールの実行には、Java(バージョン1.5以降)が必要となります。
まだインストールされていない方は、Java(Runtime)が実行できる環境も事前に準備してください。
(Javaのインストール方法等は、インターネット上の多くのサイトで公開されています。)
次に、ダウンロードしたコマンドラインツールのzipファイルを任意のディレクトリに展開します。
$ unzip RDSCli.zip
次に、Javaをインストールしたディレクトリと、先ほどツールを展開したディレクトリに対して、下記を参考に環境変数を設定します。
(実際に指定するディレクトリパスは、ご自分の環境にあわせたものに変更してください。)
$ export JAVA_HOME=/home/nami/jdk/1.5.0_16 $ export AWS_RDS_HOME=/home/nami/RDSCli-1.0.005
次に、Javaや、コマンドラインツールが実行できるよう、PATH(環境変数)を通す設定を行います。
$ export PATH=$PATH:$JAVA_HOME/bin:$AWS_RDS_HOME/bin
次に、Amazon RDSのAPIを利用する際に必要となる、Amazon Web Servicesのアカウント情報(認証情報)を記述するファイルを作成します。コマンドラインツールにはテンプレートが準備されているため、下記のコマンドでテンプレートファイルをコピーしましょう。
$ cp $AWS_RDS_HOME/credential-file-path.template $AWS_RDS_HOME/credential-file-path
次に、コピーしたファイルを編集します。
ファイルに、"Access Key ID" と "Secret Access Key" を入力する必要がありますので、下記のAmazon Web ServicesのWebページより確認してください。(図04)
(尚、Secret Access Keyについては、"show" のリンクをクリックすることで確認できます。)
- Security Credentials
確認後に、vimやemacs等のエディタで、"credential-file-path" のファイルを編集します。
AWSAccessKeyId=アクセスキーID AWSSecretKey=シークレットアクセスキー
編集したファイルには認証情報が記載されていますので、自分しか見ることができないよう権限を変更します。
$ chmod 600 $AWS_RDS_HOME/credential-file-path
次に、先ほど編集したアカウント情報を記したファイルに対して、下記のように環境変数を設定します。
$ export AWS_CREDENTIAL_FILE=$AWS_RDS_HOME/credential-file-path
最後に、下記のコマンドを実行し、バージョン情報が表示されれば、クライアント環境のセットアップは完了です。
$ rds-version Relational Database Service CLI version 1.1.004 (API 2010-01-01)
DBインスタンスの起動
自分専用のDBインスタンスを起動してみます。
DBインスタンスの起動には、"rds-create-db-instance" コマンドを利用します。下記のコマンド例の要領で実行してみましょう。
$ rds-create-db-instance --db-instance-identifier myinstance \ --allocated-storage 10 \ --db-instance-class db.m1.small \ --engine MySQL5.1 \ --master-username testuser \ --master-user-password testpass \ --db-name MyDatabase \ --headers
コマンド実行時の各オプションの意味は以下の通りです。
--db-instance-identifier | DBインスタンスの識別名 |
---|---|
--allocated-storage | ストレージへの割り当て容量 (5〜1024GB) |
--db-instance-class | 利用するインスタンスの種類 (db.m1.small、db.m1.large、db.m1.xlarge、db.m2.2xlarge、db.m2.4xlargeの中から選択) |
--engine | 利用するDBエンジン、現在は"MySQL5.1"のみ |
--master-username | DBのユーザ名 |
--master-user-password | 上記DBユーザーのパスワード |
--db-name | 作成するデータベース名 |
DBインスタンスの起動を実施すると、以下のように "Status" 項目が "creating" と表示され、DBインスタンスが作成中であることが伺えます。
また、"--multi-az"オプションを付けることで、前述の"Multi-AZ Deployments"オプションを利用することができ、DBの自動フェイルオーバーを可能とする環境を作ることができます。
DBINSTANCE DBInstanceId Class Engine Storage Master Username Status Backup Retention PendingCredentials DBINSTANCE myinstance db.m1.small mysql5.1 10 testuser creating 1 **** SECGROUP Name Status SECGROUP default active PARAMGRP Group Name Apply Status PARAMGRP default.mysql5.1 in-sync
DBインスタンスの作成は数分程度で完了します。
数分経ったら、下記の "rds-describe-db-instances" コマンドを実行し、DBインスタンスの状況を確認してみましょう。
$ rds-describe-db-instances --headers DBINSTANCE DBInstanceId Created Class Engine Storage Master Username Status Endpoint Address Port AZ Backup Retention DBINSTANCE myinstance 2010-03-14T07:07:30.599Z db.m1.small mysql5.1 10 testuser available myinstance.cynm7muqcmsz.us-east-1.rds.amazonaws.com 3306 us-east-1b 1 SECGROUP Name Status SECGROUP default active PARAMGRP Group Name Apply Status PARAMGRP default.mysql5.1 in-sync
上記のように、"Status" 項目が "available" と表示されていれば、DBインスタンスの作成は完了です。
Address(上記の例では"myinstance.cynm7muqcmsz.us-east-1.rds.amazonaws.com"の部分)は、後で利用するのでメモしておきましょう。
尚、DBインスタンスが起動したタイミングから課金が発生します。
セキュリティの設定
DBインスタンスへのアクセスは、デフォルトで外部からのアクセスが許可されていないため、"rds-authorize-db-security-group-ingress" コマンドにて設定を変更します。
下記のコマンド実行例は、全てのアクセスを許可(0.0.0.0/0からのアクセスを許可)する設定となりますが、実際の運用時には、正しいアクセス制限を行うようにしてください。"xxx.xxx.xxx.xxx/xx"形式で、許可する接続元のネットワーク・IPアドレスを指定することができます。
$ rds-authorize-db-security-group-ingress default --cidr-ip 0.0.0.0/0 --headers SECGROUP Name Description SECGROUP default default IP-RANGE IP Range Status IP-RANGE 0.0.0.0/0 authorizing
セキュリティの設定を行った後は、下記のように "rds-describe-db-security-groups" コマンドで、現在の設定を確認することが可能です。
$ rds-describe-db-security-groups SECGROUP default default IP-RANGE 0.0.0.0/0 authorized
DBに接続してみる
では、DBインスタンスを起動し、セキュリティの設定が完了したところで、DBインスタンスへアクセスしてみましょう。
DB(MySQL)へのアクセスは、様々なクライアントツールから行うことが可能ですが、今回の例では"mysql"コマンドを利用してアクセスします。
(※クライアント環境にMySQLが必要です。RedHat/CentOS/Fedoraの場合は"yum install mysql"、Debian/Ubuntuの場合は"apt-get install mysql-client"でインストールを行ってください。)
$ mysql -h myinstance.cynm7muqcmsz.us-east-1.rds.amazonaws.com -u testuser -p Enter password: Welcome to the MySQL monitor. Commands end with ; or \g. Your MySQL connection id is 97 Server version: 5.1.42-log MySQL Community Server (GPL) Type 'help;' or '\h' for help. Type '\c' to clear the buffer. mysql>
mysqlコマンドの"-h"オプションには、接続先のDBインスタンスのIPアドレスもしくはホスト名を入力します。
事前に "rds-describe-db-instances" コマンドで確認しておきしょう。
下記のように "show databases;" を実行すると、DBインスタンス作成時に指定したデータベース名(MyDatabase)が確認できます。
mysql> show databases; +--------------------+ | Database | +--------------------+ | information_schema | | MyDatabase | | innodb | | mysql | +--------------------+ 4 rows in set (0.20 sec)
あとは、データベースに対して自由にDDLやSQL等の操作を行ってみてください。
スケールアップしてみる
前述の通り、Amazon RDSでは、サーバのスペックを簡単にグレードアップ(スケールアップ)する機能が準備されています。
スケールアップの実施については、既に起動しているDBインスタンスに対して、"rds-modify-db-instance myinstance" コマンドを実行します。下記が、コマンド実行例です。
$ rds-modify-db-instance myinstance --db-instance-class db.m1.large -apply-immediately DBINSTANCE myinstance 2010-03-14T07:07:30.599Z db.m1.small mysql5.1 10 testuser available myinstance.cynm7muqcmsz.us-east-1.rds.amazonaws.com 3306 us-east-1b 1 db.m1.large SECGROUP default active PARAMGRP default.mysql5.1 in-sync
上記コマンド実行例では、myinstanceはDBインスタンスの識別名で、DBインスタンスの起動時に指定した任意の文字列です。--db-instance-classオプションで、スケールアップ後のインスタンスの種類を指定します。上記の例では、db.m1.smallからdb.m1.largeへスケールアップする場合の例です。最後に、-apply-immediatelyオプションを付けることで、コマンド実行後、即座にスケールアップ作業が開始されます。
実行後に、"rds-describe-db-instances" コマンドにて状況を確認すると、"Status"項目が "modifying" と表示されます。
$ rds-describe-db-instances --headers DBINSTANCE DBInstanceId Created Class Engine Storage Master Username Status Endpoint Address Port AZ Backup Retention PendingClass DBINSTANCE myinstance 2010-03-14T07:07:30.599Z db.m1.small mysql5.1 10 testuser modifying myinstance.cynm7muqcmsz.us-east-1.rds.amazonaws.com 3306 us-east-1b 1 db.m1.large SECGROUP Name Status SECGROUP default active PARAMGRP Group Name Apply Status PARAMGRP default.mysql5.1 in-sync
スケールアップの実施中は、以下のようにDBへの接続ができなくなります。
スケールアップに必要となる時間はおよそ数分程度ですが、データベースが不通となるため、システム運用中にスケールアップを実施する際は、事前に計画停止を検討するようにしてください。
$ mysql -h myinstance.cynm7muqcmsz.us-east-1.rds.amazonaws.com -u testuser -p Enter password: ERROR 2003 (HY000): Can't connect to MySQL server on 'myinstance.cynm7muqcmsz.us-east-1.rds.amazonaws.com' (111)
実施後しばらくしてから、下記のように "rds-describe-db-instances" コマンドを実行し、"Status"項目が "available" と表示されていれば、スケールアップ作業は完了です。
$ rds-describe-db-instances --headers DBINSTANCE DBInstanceId Created Class Engine Storage Master Username Status Endpoint Address Port AZ Backup Retention DBINSTANCE myinstance 2010-03-14T07:07:30.599Z db.m1.large mysql5.1 10 testuser available myinstance.cynm7muqcmsz.us-east-1.rds.amazonaws.com 3306 us-east-1b 1 SECGROUP Name Status SECGROUP default active PARAMGRP Group Name Apply Status PARAMGRP default.mysql5.1 in-sync
スケールアップ後は、以前のアドレスで問題なくデータベースに接続することが可能です。
$ mysql -h myinstance.cynm7muqcmsz.us-east-1.rds.amazonaws.com -u testuser -p Enter password: Welcome to the MySQL monitor. Commands end with ; or \g. Your MySQL connection id is 87 Server version: 5.1.42-log MySQL Community Server (GPL) Type 'help;' or '\h' for help. Type '\c' to clear the buffer. mysql> show databases; +--------------------+ | Database | +--------------------+ | information_schema | | MyDatabase | | innodb | | mysql | +--------------------+ 4 rows in set (0.19 sec) mysql>
尚、少し脱線しますが、"rds-modify-db-instance"コマンドでは、DBインスタンスの起動時同様に、"--multi-az"オプション(DBの自動フェイルオーバー機能)を使うことができます。ただし、適用するために数分のダウンタイムが発生するため、注意が必要です。
DBインスタンスの停止・削除
最後に、作成したDBインスタンスを停止・削除を行います。スナップショット(バックアップ)を取得せずにDBインスタンスの停止を行うと、データベースのデータが削除されてしまうため、注意してください。
DBインスタンスの停止・削除は、"rds-delete-db-instance myinstance" コマンドを利用します。
$ rds-delete-db-instance myinstance --skip-final-snapshot --headers Once you begin deleting this database, it will no longer be able to accept connections. Are you sure you want to delete this database? [Ny]y DBINSTANCE DBInstanceId Created Class Engine Storage Master Username Status Endpoint Address Port AZ Backup Retention DBINSTANCE myinstance 2010-03-14T07:07:30.599Z db.m1.large mysql5.1 10 testuser deleting myinstance.cynm7muqcmsz.us-east-1.rds.amazonaws.com 3306 us-east-1b 1 SECGROUP Name Status SECGROUP default active PARAMGRP Group Name Apply Status PARAMGRP default.mysql5.1 in-sync
上記コマンド実行例では、削除したいDBインスタンスの識別名である"myinstance"を指定し、--skip-final-snapshotオプションを指定することで、最後にスナップショット(バックアップ)を取得せず、DBインスタンスを停止します。
もし停止前にスナップショットの取得を行う場合は、"--skip-final-snapshot"のオプションを付けずに、"--final-db-snapshot-identifier スナップショット識別名"のオプションを指定してください。
DBインスタンスの停止後に、"rds-describe-db-instances" コマンドを実行し、該当するDBインスタンスが表示されていなければ、停止は完了です。
既に1台もDBインスタンスが起動していない場合は、下記例のように何も表示されません。
$ rds-describe-db-instances --headers $
AWS Management ConsoleによるAmazon RDSサポート
"AWS Management Console"は、Amazon Web Servicesが公式で提供している、Amazon EC2などをブラウザから管理・操作するためのコンソールです。
利用の流れや雰囲気は、以下のエントリをパラパラ眺めてもらえると掴めるかと思います。
ここからは、細かい使い方については割愛して、簡単にどのようなものかを紹介します。(利用方法については、また別エントリに記載したいと思います。)
尚、AWS Management ConsoleからAmazon RDSを利用する際は、以下URLからアクセスします。
https://console.aws.amazon.com/rds/home
このエントリを上から順に試していらっしゃる方は、既にAmazon RDSの利用申請が済んでいるかと思いますので、上記URLにアクセス(要認証によるログイン有)すると、このようなAmazon RDSのダッシュボードが表示されます。ここでは、現在のAmazon RDSの運用状況のサマリが確認できます。
もし、まだAmazon RDSの利用申請が済んでいない場合は、上記のような画面が表示されます。
もちろん、アジア(シンガポール)を含むRegionも選択できます。このように4箇所から選択可能。
DBインスタンスの起動も、このようなウィザード形式で簡単に行うことが出来ます。
先ほどのCUIからの起動方法で、コマンドラインのオプションで指定していたパラメータを、ブラウザ(GUI)から入力できます。
もちろん、先ほど紹介した自動フェイルオーバー機能である"Multi-AZ Development"オプションを指定することも可能です。
バックアップやメンテナンスのタイミング・所要時間等についても、きちんと指定・調整することができます。
DBパラメータの設定が可能である"DB Parameter Groups"機能による、DB(MySQL)の設定値一覧を確認することも可能です。
※ AWS Management Console Now Supports the Relational Database Service | AWS News Blogより引用
このように、Amazon CloudWatchによる、各リソース状況の確認も可能なようです。
その他、EBSボリュームの管理やスナップショットの取得。"Security Groups"(ファイヤーウォール)の設定や、DBイベント・ログの確認なども、AWS Management Consoleから利用可能になっています。
こういった、ブラウザ経由でのGUIによる管理コンソールを利用できることにより、手軽に・簡単にAmazon RDSに触れることができるはずです。これらの詳しい利用方法については、後日別エントリにて紹介したいと思います。
おわりに
以上で、Amazon RDSの基本的な使い方の紹介は終了です。
その他、各コマンドの詳細なオプション仕様については、Amazon Web Services公式のドキュメント(英語)に記載されています。
- Amazon Relational Database Service Command Line Interface Reference
このように、Amazon RDSを利用することで、とても手軽で、かつ十数円の出費から、データベースのプラットフォームを使い始めることができます。
DBインスタンスの起動後は、基本的に通常のMySQLサーバと同じ振る舞いをするため、mysqldumpコマンドやmysqlコマンド等の利用による、既存のMySQLデータベースからのインポート、もしくは既存のMySQLデータベースへのエクスポートといった移行を実施することが可能です。
まずは、開発環境やテスト環境などで、一時的なデータベース環境を使いたくなった際などに、すぐに使い始めることができるため、皆様も一度試してみてはいかがでしょうか。
まとめ
以下のまとめエントリを書いてから今日で丸2年。この長編エントリはその記念ですね。
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